「保身」とは、どんな意味があるのでしょう

幸福感
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最近様々な場面で「保身」という言葉を耳にする機会があるかと思います。

自分の身や地位、名誉などを守り、責任から逃れようとして不利益を避ける言動とする意味に捉えられている場合が多いようです。

地位や名誉のない人たちにとって、「保身」を使う状況はほとんど無いので無関係のような気がしますが、実際には良い意味での「保身」は必要な場合があるようです。

この言葉の本来の意味や使い方について考えてみます。

「保身」の意味は英語表現なら解りやすい

「保身」とは、自分の身や地位、名誉などを守り、安全を確保しようとすることを意味します。もう少し具体的に英語表現するなら

一般的な表現

  • Self-preservation: 文字通り「自己保存」という意味で、最も一般的な表現です。生物学的な意味合いも含まれますが、人間関係や社会生活においても広く使われます。
  • Self-interest: 「自己の利益」という意味で、「保身」の中でも特に個人的な利益を優先するニュアンスが強くなります。

より具体的な表現

  • Fear of failure: 「失敗への恐れ」
  • Risk aversion: 「リスク回避」
  • Careerism: 「出世主義」
  • Self-protection: 「自己防衛」

よりネガティブなニュアンスの表現

  • Cowardice: 「臆病」
  • Shirking responsibility: 「責任転嫁」
  • Buck-passing: 「責任転嫁」 (より口語的)

などが挙げられます。

保身を使う人はどんな人

「保身」という言葉は、誰しもが一度は意識する概念です。しかし、特にこの言葉が当てはまりやすいのは、

  • 責任のある立場の人(上司、経営者など)
  • 組織の中で生き残りたい人
  • 変化を恐れる人

などが挙げられます。

「保身」という言葉が使われる場面は多岐にわたります。例えば、

  • 不祥事が起きた時に、責任の所在を曖昧にし、自分の身を守ろうとする場合
  • 新しいアイデアや改革に対して、現状維持を優先し、反対意見を唱える場合
  • 競争が激しい状況で、他人を蹴落としてでも自分の地位を守ろうとする場合

などです。

上記の内容ですと、特別な人や特殊な状況に置かれた場合に使われる言葉のようにイメージしてしまします。しかし「保身」には良い意味(ポジティブ)と悪い意味(ネガティブ)がありますので、それぞれの意味について簡記します。

良い意味での保身とは

  • 危機管理の観点から:
    • 自然災害: 地震や台風などの自然災害が発生した場合、身を守るために避難行動をとることは、自己保身であり、同時に大切な命を守るための合理的な行動です。
    • 危険な状況: 犯罪に巻き込まれそうになった場合、逃げることは自己保身であり、被害を最小限に抑えるための賢明な判断です。
  • 健康管理の観点から:
    • 病気の予防: 定期的な健康診断や予防接種を受けることは、病気のリスクを減らし、健康を維持するための自己保身と言えるでしょう。
    • 過労防止: 仕事に打ち込みすぎるあまり、健康を害してしまうことを防ぐために、適度な休息をとることも、自己保身の一環です。
  • 経済的な観点から:
    • 貯蓄: 不測の事態に備えて貯蓄をすることは、経済的なリスクを回避するための自己保身です。
    • 保険加入: 病気やケガ、事故などに対する保険に加入することも、経済的なリスクを分散させるための自己保身と言えるでしょう。
  • 精神的な観点から:
    • 人間関係: ストレスの多い人間関係から距離を置くことは、精神的な健康を守るための自己保身です。
    • 休養: 疲れたと感じたら休むことは、心身をリフレッシュさせるための自己保身と言えるでしょう。

これらの例からわかるように、保身は、必ずしも悪いことではなく、むしろ自分自身や大切な人を守るための合理的な行動である場合もあります。

悪い意味での「保身」とは

具体的に悪い意味での「保身」は、以下の様な行為が「悪い意味での保身」に該当すると言えるでしょう。

  • 責任転嫁: 自分のミスや失敗を認めず、他の人のせいにしたり、組織のせいにしたりする行為。
  • 不正行為: 規則を破ったり、嘘をついたり、不正な手段を使って自分の利益を優先する行為。
  • 新しいことに挑戦しない: 失敗を恐れて、新しいアイデアや変化を拒み、現状維持に固執する行為。
  • 周囲の意見を聞かない: 自分の意見ばかりを押し通し、周囲の意見を無視したり、批判したりする行為。

、一般的に、自分の地位や名誉、利益などを守るために、正当な行為をせずに、不正な手段を使ったり、責任を回避したりする行為を指します。

悪い意味での保身を引き起こす心の原因は

  • 不安感や恐れ: 失敗や責任を恐れるあまり、現状維持に固執したり、責任転嫁をしてしまったりする。
  • 承認欲求: 周囲から認められたい、評価されたいという気持ちが強すぎて、不正な手段に手を染めてしまう。
  • 自己中心的思考: 自分中心に物事を考え、周囲への配慮が欠けてしまう。
  • 完璧主義: 完璧な結果を求めるあまり、失敗を恐れ、新しいことに挑戦できなくなる。
  • 低い自己肯定感: 自分の能力を過小評価し、自信が持てないため、現状維持に甘んじてしまう。
  • 競争意識の強さ: 周囲の人と比較して優位に立ちたいという気持ちが強く、不正な手段を使ってでも勝ちたいと考えてしまう。
  • 組織の文化: 組織全体で保身が奨励されるような風土の場合、個人が保身的な行動を取りやすくなる。

中高年齢層の方が保身を強く意識するようになる原因は

様々な要因が複雑に絡み合っています。以下に考えられる主な原因をいくつか挙げさせていただきます。

1. 社会的な変化と不安

  • 雇用環境の変化: 定年退職やリストラなど、雇用が不安定な状況に置かれる可能性が高まるため、現状を維持したいという気持ちが強くなります。
  • 経済状況の不安: 物価の上昇や年金制度の将来に対する不安から、現在の生活を守りたいという意識が強まります。
  • 健康問題への不安: 年齢とともに健康への不安が増大し、現状を維持したいという気持ちが強くなります。

2. 心理的な変化

  • 自己肯定感の低下: 若年層と比較して、自身の能力や価値を低く評価してしまう傾向があります。
  • 変化への抵抗感: 新しいことに挑戦することへの不安や抵抗感が強くなり、現状維持を優先するようになります。
  • 過去の成功体験への固執: 過去の成功体験にとらわれ、新しい挑戦を避けるようになります。

3. 社会的な役割の変化

  • 子育てや介護の終了: 長年担ってきた子育てや介護から解放され、自分自身に目を向ける時間が増える一方、新たな役割を見つけることに戸惑い、現状維持を望む傾向があります。
  • 社会的な地位の変化: 会社での役職を退いたり、社会的な地位が低下することで、自信を失い、現状維持に固執するようになります。

4. 価値観の変化

  • 安定志向: 若年層に比べて、安定した生活を重視する傾向が高まります。
  • リスク回避: 新しいことに挑戦することによるリスクを避け、安全な選択をしようとする傾向が強まります。

5. 周囲の環境

  • 同世代の人々の影響: 周囲の人々が同じように保身的な行動をとっていると、自分もそうすべきだと考えてしまう。
  • 情報過多: 様々な情報が飛び交う中で、どれが正しい情報なのか判断できずに、現状維持を選びがちになる。

これらの要因は、個人によって、また社会的な状況によっても大きく異なってきます。

中高年齢層の方が保身を強く意識すること自体は、必ずしも悪いことではありません。 現状を維持したいという気持ちは、安心感や安定感をもたらし、心の安定につながることもあります。

しかし、過度な保身は、新たな挑戦の機会を逃したり、人間関係を狭めてしまったりする可能性もあります。

中高年齢層の方々が、より充実した人生を送るためには、

  • 自身の価値観を見つめ直す: 自分が本当に求めているものは何かを考え、それに基づいた行動をとる。
  • 新しいことに挑戦する: 少しの不安はあっても、新しいことに挑戦することで、新たな発見や喜びを得ることができる。
  • 周囲の人との交流を深める: 周囲の人々と積極的に交流することで、新たな視点を得たり、刺激を受けたりすることができる。
  • 健康に気を配る: 健康な体と心は、豊かな老後を送るために不可欠です。

などが考えられます。

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保身を克服する方法

  • 小さなことから始める: 大きな目標ではなく、小さな目標を達成することで自信をつける。
  • 失敗を恐れない: 失敗は成功への過程であると捉え、積極的に新しいことに挑戦する。
  • 周囲の人とのコミュニケーションを大切にする: 周囲の人と信頼関係を築き、意見交換をする。
  • 自己肯定感を高める: 自分の良いところを見つける、小さな成功体験を積み重ねる。
  • 専門家のサポートを受ける: 心理療法士やカウンセラーに相談する。

保身に関する著名人の言葉

  • スティーブ・ジョブズ: 「イノベーションは、既存のものを繋ぎ合わせることにより生まれるのではなく、新しいものを考えることから生まれる。」
  • ウォーレン・バフェット: 「リスクとは、自分が何をしているか理解していないことだ。」
  • マイケル・ジョーダン: 「私は9,000以上のシュートを外した。ほぼ300試合に負けた。26回も私に勝つことを託された試合で決められないことがあった。何度も何度も失敗してきたからこそ、成功できたんだ。

保身は、必ずしも悪いことではなく、むしろ自分自身や大切な人を守るための合理的な行動である場合があります。

ただし、ポジティブな保身とネガティブな保身を見分けるには、以下の点が重要です。

  • 目的: 自己成長や組織の発展に貢献するために行う行動なのか、それとも単に自分の地位や利益を守るために行う行動なのか。
  • 手段: 正当な手段を用いて自己を守ろうとしているのか、それとも不正な手段を用いているのか。
  • 結果: 周囲の人々や社会全体にどのような影響を与えるのか。

ポジティブな保身は、自分自身を大切にし、周囲の人々とも良好な関係を築く上で不可欠な要素です。


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