物価高 vs ベースアップ 「160万円の壁」になってサラリーマンの生活は楽になる?

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今年の4月から給与額の大幅アップがありましたが、中小企業ではなかなか厳しいようです。

春闘における連合の初回集計では、ベアと定期昇給を合わせた賃上げ率が5.46%となりました。中小企業の平均賃上げ率は4.50%でした。

2025年のパート職員の時給ベースアップは、全国平均で過去最高額の約6%の賃上げが予想されています。

たくさんの企業で大幅なベースアップが図られましたが、実際に手取り額はどの程度増えるのでしょうか。

平均的賃金の給与所得者を例に挙げて、手取り額がどれだけ増えてくるのかを概算で表してみます。

今年の手取り額はいくら増える

今年の給与額ベースアップと160万円の壁の影響で手取り額はどのくらい増えるのでしょうか。

40歳の男性の年収中間値は約500万円、パート職の年収平均値は約110万円です。
今年の正社員の平均的なベースアップ率は約5%、パート職は約6%となっていますので、これをもとにが算定しています。

(例1)40代の夫とパート職の妻、小学生の子供2人の場合


現時点での情報に基づき、ご家族の手取り額の差を概算で算出します

夫(40代):

  • 昨年(年収500万円):
    • 定額減税額(本人分):所得税3万円、住民税1万円(計4万円)
    • 年収500万円の手取り額の目安:約400万円(社会保険料、所得税、住民税控除後)
    • 定額減税後の手取り額:400万円 + 4万円 = 約404万円
  • 今年(年収525万円):
    • ベースアップ5%:500万円 × 0.05 = 25万円増
    • 年収525万円の手取り額の目安:年収500万円の手取り額を参考に、若干増加すると考えられますが、ここでは概算として420万円とします。
    • 定額減税は原則としてありません。
    • 160万円の壁の影響:夫の所得には直接関係ありません。
    • 手取り額:約420万円

妻(パート):

  • 昨年(年収110万円):
    • 定額減税額(被扶養者分):所得税3万円、住民税1万円(計4万円)
    • 年収110万円の手取り額の目安:約85万円(社会保険料、所得税、住民税控除後)
    • 定額減税後の手取り額:85万円 + 4万円 = 約89万円
  • 今年(年収117万円):
    • ベースアップ6%:110万円 × 0.06 = 6.6万円増
    • 年収117万円の手取り額の目安:「160万円の壁」により所得税はかからない可能性が高いです。社会保険料と住民税が引かれますが、昨年より若干手取りは増えると考えられます。概算として92万円とします。
    • 定額減税は原則としてありません。
    • 手取り額:約92万円

子供(2人):

  • 昨年の定額減税額(扶養親族分):1人あたり所得税3万円、住民税1万円(計4万円)、2人で計8万円。これは夫または妻の所得税・住民税から減税されます。上記の手取り額に反映済みです。
  • 今年の160万円の壁は子供の所得には関係ありません。

手取り額の差(夫婦合計):

  • 昨年の夫婦の手取り額合計:約404万円(夫) + 約89万円(妻) = 約493万円
  • 今年の夫婦の手取り額合計:約420万円(夫) + 約92万円(妻) = 約512万円
  • 手取り額の差:約512万円 – 約493万円 = 約19万円

結論(概算):

ご家族全体の手取り額は、昨年の約493万円に対し、今年は約512万円となり、約19万円増加する見込みです。

今年の収入額は二人で31万6000円増えていますが、手取り額は約19万円のアップに留まっています。

内訳のポイント:

  • 夫のベースアップ: 年収が500万円から525万円に増加したことで、手取り額も増加します。
  • 妻のベースアップと160万円の壁: 年収が110万円から117万円に増加しましたが、「160万円の壁」により所得税の負担が軽減される可能性があります。
  • 定額減税(昨年のみ): 昨年はご家族4人分の定額減税(16万円相当)が手取り額を押し上げました。今年は定額減税がないため、その分の増加はありません。

昨年の「定額減税」は税額控除でしたから、家族一人当たり4万円の手取り額増額がありました。しかし「給与所得控除額の変更」は所得控除ですので恩恵を受けるのは、年収の少ないパート職の人に限られるでしょう。

(例2)30歳独身男性の場合

昨年の年収が400万円、今年が5%アップの420万円の場合、現時点での情報に基づき、扶養者なしの30歳独身男性の手取り額の差を概算で算出します。

昨年(年収400万円):

  • 定額減税額(本人分):所得税3万円、住民税1万円(計4万円)
  • 年収400万円の手取り額の目安:約320万円(社会保険料、所得税、住民税控除後)
  • 定額減税後の手取り額:320万円 + 4万円 = 約324万円

今年(年収420万円):

  • ベースアップ:420万円 – 400万円 = 20万円増
  • 年収420万円の手取り額の目安:年収400万円の手取り額を参考に、収入増に応じて手取りも増加しますが、税金や社会保険料も増えるため、単純な比例計算にはなりません。概算として338万円とします。
  • 定額減税は原則としてありません。
  • 160万円の壁の影響:独身で扶養者がいないため、直接的な影響はありません。
  • 手取り額:約338万円

手取り額の差:

  • 今年の手取り額:約338万円
  • 昨年の手取り額:約324万円
  • 手取り額の差:約338万円 – 約324万円 = 約14万円

結論(概算):

扶養者なしの30歳独身男性の場合、手取り額は昨年の約324万円に対し、今年は約338万円となり、約14万円増加する見込みです。

内訳のポイント:

  • ベースアップ: 年収が400万円から420万円に増加したことで、手取り額が増加します。
  • 定額減税(昨年のみ): 昨年は定額減税4万円が手取り額を押し上げました。今年は定額減税がないため、その分の増加はありません。
  • 160万円の壁: 独身で扶養者がいないため、今回の「160万円の壁」による直接的な手取り額への影響はありません。

注意点:

  • これはあくまで概算であり、社会保険料の正確な計算、個々の所得控除額、住民税率などによって実際の金額は異なります。
  • 年収が増加した分、所得税や住民税、社会保険料の負担もわずかに増加するため、単純な収入増がそのまま手取り額の増加には繋がりません。
  • 手取り額の目安は、一般的な計算ツールや早見表を参考にしています。

今年の生活水準は昨年と同程度

2025年3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比+3.2%となっています(総務省統計局)
お米の値段は2倍になっていることなどから、今後も消費者物価指数のアップ率は確実に3%以上になると思われます。

給料のベースアップはありましたが、前述の給与所得者(例1)の手取り額のアップ率は3.8%となっていますので、消費生活はほぼ昨年と同様の水準で暮らすことになります。

せめて消費税だけでも軽減してほしいものですね

「160万円の壁」とは

「160万円の壁」という言葉は、主に2025年以降の所得税の課税ラインの目安として使われています。この「160万円の壁」は、2025年1月1日以降の所得に対して適用されました。

これは、2025年度の税制改正によるもので、所得税の課税が始まる年収の目安が、これまでの「103万円の壁」から引き上げられることによるものです。

《変更点》
基礎控除の引き上げ: 2025年分から、所得税の基礎控除額が48万円から58万円に引き上げられます。

給与所得控除の最低保障額の引き上げ: 給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます。これらの変更により、合計の所得控除額が増加するため、所得税がかかり始める年収のラインが引き上げられることになります。

《注意点》
重要な注意点所得税の壁: 「160万円の壁」は、あくまで所得税が発生し始める年収の目安です。住民税の非課税限度額は自治体によって異なり、所得税とは異なる基準があります。

配偶者控除: 配偶者控除や配偶者特別控除にも年収の壁があり、今回の改正で一部変更されています。配偶者の年収が160万円を超えると、配偶者特別控除の額が段階的に減少します。
社会保険の壁: 年収が一定額を超えると、社会保険(健康保険や厚生年金保険)の加入義務が発生する「106万円の壁」や「130万円の壁」など、所得税とは異なる社会保険の壁も存在します。これらの壁の開始時期に変更はありません。

年金受給者の就労調整: 年金を受給しながら働く高齢者の場合、収入に応じて年金の一部または全部が支給停止となる「在職老齢年金制度」があります。この制度の基準額は近年見直されていますが、「160万円の壁」とは直接的な関係はありません。


2025年度の住民税における定額減税

原則として、2025年分の所得税住民税において、2024年度のような全国一律の定額減税は予定されていません。

ただし、例外的に、2024年度の定額減税で控除しきれなかった金額がある場合、その残額が2025年度の住民税所得割額から控除されることがあります。これは、2024年の定額減税が完全に控除されなかった納税者に対する措置です。

また、2024年度の住民税の定額減税の対象とならなかった「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者」については、2025年度の住民税所得割額から1万円が減税される予定です。これは、2024年度の制度設計上の対応によるものです。

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