地方公務員に支給されたボーナスが映し出す、埋まらない賃金格差の現実

お金と暮らし
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先日、地方公務員に夏のボーナスが支給されました。景気の回復が叫ばれる一方で、地方の賃金実態は厳しいのが現状です。今回のボーナス支給が浮き彫りにした、地方における公務員と民間の格差、そして公務員内部での格差について考察します。


📈 地方公務員の「特権」と、中小企業との格差

報道によると、山口県職員(管理職を除く)の平均支給額は約86万円でした。

これは、中小企業が大多数を占める地方の民間企業では、なかなか実現が難しい水準です。公務員並みのボーナスを支払える企業は、ごく少数でしょう。昨年の年収で見ても、地方公務員は平均的なサラリーマンより約200万円も高いというデータもあり、この差は広がる一方です。

地方公務員の処遇が安定している一方で、地方経済の担い手である中小企業で働く人々との賃金格差はますます大きくなっています。

「公務員のベースアップは、民間企業との差を少なくするため」という建前がありますが、地方においては全くの逆説です。公務員並みの年収を得ている民間社員が一体どれだけいるでしょうか。


📉 公務員内部で広がる「非正規」との格差問題

さらに深刻なのは、公務員内部の格差です。正職員と、非常勤職員や派遣社員などの**「正職員以外」**の人々との間で、賃金格差は広がる一方です。

私が住む地方自治体でも、非常勤職員(会計年度任用職員)に対し、2年前から週30時間以上勤務を条件にボーナスが支給されるようになりました。

しかし、その結果、人件費削減の動きが生まれました。

【人件費削減の構造】

ボーナスを含め年収250万円の非常勤職員を2名採用するよりも、ボーナス支給対象外となる週30時間未満の勤務者を3名採用するほうが、年収150万円程度で済むため、全体の人件費が削減されるというわけです。

このように、制度の隙間を縫って人件費を抑制する動きは、非正規職員の待遇改善という本来の目的から遠ざかっています。


❓ 驚くほどの高待遇は「能力」に見合っているのか?

地方公務員の正職員が驚くほどのボーナスを得ている現状に対して、彼らの仕事量や能力、スキル、経験といったものが、その高い給与額に本当見合っているのか、という問題提起も欠かせません。

実は地方の行政組織では、有力者の推薦昇進試験がない社内考課(評価制度)が機能していないといった、信じがたい実態がまかり通っているケースが散見されます。みんな知っていても、表には出さない暗黙の了解が存在しているのです。

なぜ格差が広がるのか?

最も公正であるべき公務員の世界で賃金格差が生まれる原因の一つに、給与決定の仕組みがあります。

  • ベースアップはパーセンテージで決まり、ボーナス支給額は基本給の倍率で決まるため、もともと基本給が高い人ほど支給額が上がり、低い人との差は当然広がってしまいます。

🛠️ 求められるのは「身を切る改革」と「能力給」の導入

公務員の安定した給与体系は、生活の基盤を保証する上で重要です。しかし、地方の財政と賃金実態を鑑みると、この構造的な格差を見過ごすことはできません。

身を切る改革は政治家だけでなく、行政職においても必要です。能力や成果を正当に評価し、給与に反映させる**「能力給」**の採用など、時代に合った賃金制度への工夫が今こそ求められています。

この格差を是正し、地方全体の経済力を底上げしていくための議論が必要です。


【読者の皆さまへ】 あなたの地域では、公務員の待遇と民間企業の待遇にどのような差がありますか?ご意見をコメント欄でお聞かせください。

生活困窮者支援の経験を踏まえて、これからも経済格差についてその原因となる日本人の特質や制度につて記事を書きますのでよろしかったら読んでいただくと幸いです。

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