中高年の田舎移住 仕事と準備

田舎暮らし
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私が移住相談支援員として働いていた時に中高年の方々から「田舎で働き口があるのか?」というお問い合わせをいただきました。

中高年の男女を問わず多くの方たちが「移住後も働きたい、働かざるを得ない」と考えていらっしゃるようです。

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地方で暮らす中高年齢層はどんな仕事をしているか

すでに移住をされて働いている人や地元で定年退職後に再就職された方がどんな仕事に就いていているのかを紹介します。実際に私の住む地域での中高年の再就職状況です。

・都市部で公務員退職60代男性~Uターン移住後ハローワークで就職活動をされ、ホテルの送迎や移動図書館のバス運転など数社に応募しすべて採用通知を受けたが、結局市役所の会計年度任用職員として公園管理人となる。給与額は15万円ボーナスは2ヶ月分程度です。

・地元で教師退職60代男性~ホテルの温泉水運搬業務に就いた後、教員OBの紹介により市の公園管理人給与額は上記の人と同様。

・地元で塾講師の男性60代~自宅で木製のおもちゃ製造、ネット販売。収入は不明。

・船の機関士60代男性~職種は継続で他の船に再就職、短期間で退職し現在無職

・プチ移住の会社早期退職50代男性~スーパーの移動販売員。知人の紹介による。

・東京圏からのUターン移住50代男性~SEの営業職から、同級生の紹介で地元のタウン誌発行会社に就職。経験のある営業はしない職種で給与額は約23万円。会社都合に賃金減額通知を受けて退職。

・移住者で建築設計士40代男性~地方の文化施設の館長。行政機関の行政機関の機関誌求人からで給与額は給与額は採用時でもかなり良い。

・地元企業の退職者60代男性~中小企業の製造業で部品製造。給与額は11万円程度。派遣紹介から。

・大阪からの移住看護師50代女性~移住当初山登りなどの趣味を満喫する予定だったが、地元の看護師に勧められて、非常勤で公的機関の看護師に復帰。臨時的採用なので短期間、低賃金。

・自衛隊退職の移住者50代男性~無資格ですが福祉施設の生活、職業指導員。ハローワーク紹介で給与額は約17万円。整体の副業もしている。

・都市部の建設関係大手企業退職Uターン移住者60代男性~地元中小企業で管理職。同級生からの誘いで給与額はかなり良いと思われる。

・移住者で介護士の60代女性~介護士を継続で給与額は都市部での勤務時よりも少し低くなった。

・都市部大手芸能会社を退職した移住者50代男性~自宅でWEBを使っての投資等。収入額不明

・地元電気量販店の早期退職者50代~電気工事士として自営。前職場での関係性を活かして転職。現在20年近く経つが現役バリバリで活躍。

・木工職人の移住者40代男性、革職人(元教師)の移住者40代男性~移住先で活動(教室開催や移住者支援など)されています。

・夫とともにUターン30代女性~景色の良い場所でカフェを開店

中高年の田舎での転職例を一部挙げてみましたが、これから移住、転職を考えている方々のご参考にはあまりならなかったかもしれませんね。

再就職は時間をかけて移住前に決めておくのが望ましいと思います。一般的に都市部で活躍できるような資格は田舎では活かせない場合が多いので、資格取得は安易に決めないほうが良いでしょう。

私自身が持っているキャリコンやFP、証券関係資格では一切募集がありません。移住先では今までの職場と比べて非効率で不適切な業務運営をしていると感じる事は多くあります。新人の改善提案を聞き入れてもらえるような職場でないとそれはストレスになります。

需要のある資格と経験をもって転職しても、自分の意見をちゃんと聞いてもらえるかどうかは職場によって大きな違いがあります。優秀でスキルの高い人がいる職場ほど自分のスキルも活かしやすいのは間違いありません。

衰退の一歩をたどる地方での中高年の賃金は低い

2023年1月1日時点の推計人口によると、関東圏には約3,700万人、関西圏には約2,050万人が住んでおり、日本の人口の約30%が関東圏、約17%が関西圏に住んでいます。
両経済圏を合わせると47%ですから、日本の人口のほぼ半数が住んでいることになります。

一方で地方の人口減少は非常に深刻な問題です。
人口減少がもたらす影響は下記のようなことがあげられます。

  • 地域経済の衰退: 人口減少は、地域経済の衰退につながります。人口減少により、消費が減少し、企業活動が停滞してしまうからです。
  • 公共サービスの維持困難: 人口減少は、公共サービスの維持を困難にします。人口減少により、税収が減少し、公共サービスの運営に必要な財政基盤が弱体化してしまうからです。
  • 地域コミュニティの崩壊: 人口減少は、地域コミュニティの崩壊につながります。人口減少により、地域住民の高齢化が進み、地域コミュニティの活力が失われてしまうからです。

東京圏と関西圏の2022年度の税収と地方交付金の状況を、他の地方と比較してみますと。

1. 税収

  • 東京圏: 約55兆円(全体の約45%)
  • 関西圏: 約20兆円(全体の約16%)
  • その他: 約30兆円(全体の約24%)

地方交付金の大部分は、財政力指数の低い地方自治体に交付されています。
それでも地方財政が厳しいのは、地方産業が生み出す生産性、経済活力が乏しいからですので、当然労働者の賃金は低くなります。

日本の最低賃金は都道府県ごとに設定 されており、 地域によって 大きく 異なります。
2023年10月時点 の 最高額 は 東京都の 1,113円 で、 最低額 は 岩手県の 893円 です。
地域によって 220円 もの 差 があります。

低所得地域での暮らし方にはそれなりの準備と生活の工夫が必要になります。
その工夫については、次回このブログで書かせていただきます。

田舎暮らしを始めたら活動的になる方が良い

地元の人に「田舎移住を考えている人についてどう思いますか?」という質問をすると、たいていの人が「本当の田舎暮らしを知らないから」という回答をされます。
その意味は田舎暮らしの不便さや人間関係の息苦しさなどがあるということです。

都市部に住めばコンサート会場、スポーツ施設、美術館などの文化施設も身近にあります。
歳を重ねるとそういった環境が生活の中で必要になってきますが、気軽に足を運べる利便さは田舎では望めません。

人の生き方、暮らし方は否が応でも環境に大きく影響されますので、多くの人との交わりや芸術文化に触れることが出来れば自然に自己活性化が図れます。

しかし、田舎に暮らせばそういったことは難しく、たとえ美しい自然が好きだと言っても永くそこに住めば当たり前の景色になります。当分の間は癒し効果がありますが、やがて人恋しくなったりする時は来ます。

ですから、何も変わらない日常の中に何らかの楽しみを見つけることが大切になります。
具体的に年間プランを立てて、都市部への旅行で日常を離れたり、趣味の会に参加して他人とのふれあいを楽しむことをお勧めします。

移住先探しを目的とした旅行は、とても楽しくて価値のある時間を過ごせると思いますよ。

移住後はスポーツや文化的活動をしているグループに入り、息の合った人との交流をすることは色々なメリットがあります。

そのメリットの一つに仕事紹介があります。田舎では知人の紹介による就職はとても成功率が高いですし、その職場の雰囲気や雇用条件なども事前に知ることが出来ます。ひたすら一人でハローワークに通ったり、ネット求人検索するよりも現実的です。

ただし、移住後の人付き合いは広く浅くが原則です。移住先の選択はすでに移住者をたくさん受け入れている地域や観光地などで、地元の人たちが人馴れしているような田舎が良いでしょう。そこで気の合う人と新しいフランクな付き合いができると、素晴らしい第2の人生を送ることが出来るでしょう。


親しくなったからと言ってあまり頼りすぎないことも大切です。いきなり親しくく接してくれる人もいますが、どちらかと言えば警戒心を持たれている人の方が多いようです。時間をかけて信頼関係を作るしかありませんが、表情が険しく言葉のきつい人というのは、逆にこちらを怖がっているためかもしれません。

特に高齢者が多い地域では昔からの取り決め事があり、それが暮らし辛い原因にもなっている場合があります。信頼を得ようとして何事にも同調していたのでは何のために田舎暮らしを始めたのか分らなくなります。主体性は絶対に必要です。

中高年の新しい暮らしと仕事

人は何歳になっても成長できると言われますが、中高年になるとそれは「成熟度合いの確認」と言う表現が相応しいような気がします。

どこで暮らすか、どんな仕事に就くかはあくまでもその目的の手段であって、人を含めた多様な環境と関わって自分をどう再生していくのかが本題ではないでしょうか。

「老後に後悔しない」ためには、中高年になってから次の人生の準備をしておかなければいけないのですが、現役時代に仕事を生活の中心において暮らして来た人は、いずれ働き方を変えていく必要に迫られる時が来ます。

延長雇用一択ではなく次の新しい働き方、暮らし方という選択肢をもつことが出来るのは、前もってその準備をしていた人でしょう。

その準備とは学生時代の就活とは少し違っていて、社会経験の中で培ったものを整理し自己理解を深めること、本当にやりたかったことは何か、どんな生活が理想なのか、そしてそれを実行しようとするチャレンジ精神とエネルギーがまだ自分に残っているか等を検証することから始めます。

それから経済面を考えながらライフプランを立てるのですが、仕事は生活の一部だと割り切っていても、生きていくためには重要なテーマです。

仮に延長雇用など経験を活かした職種に就いたとしても、今迄のように働き甲斐を感じることは難しいでしょう。それでもその方が良い思う人もいますし、そうせざるを得ない人もいます。

私の場合は経済的安定よりも移住や転職などのチャレンジ精神を優先してきましたが、全く後悔はしていません。

仕事を含めて新しい暮らし方をすることは、しっかりと準備をしておけばそれほど大変な事ではありませんでした。もちろん経済的には悪い結果になりましたが、それ以上に自分の成長とアイデンティティの再構築を図ることが出来ました。

新しい場所で新しい暮し方を選べば反省すべきことは山ほど起こります。反省⇒改善を繰り返すのも楽しいものです。私はそんな時はいつも「this is my life」と心の中で連呼しています。意外とすっきりします。

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